WHITESNAKE/SLIP OF THE TONGUE スリップ・オブ・ザ・タング(1989)

アルバムレビュー

点数 94点

ハードロック ヘヴィメタル
イングランド

Bitly

『バンド史上最も激しくメタルな作品に仕上がった意欲作』

イングランド出身のホワイトスネイクによる8枚目のアルバム

ホワイトスネイク史上最もヘヴィメタルな作風が聴ける貴重なアルバム。古くからのファンはこの作品をどう感じたのかとても気になるところだ。

全米10位を獲得。

ホワイトスネイクもメンバーチェンジが多いバンドの為、今作のメンバーを記しておく。

今作のメンバーは
デイヴィッド・カヴァデール(ボーカル)
スティーヴ・ヴァイ(ギター)
ルディ・サーゾ(ベース)
トミー・アルドリッジ(ドラム)

作曲でギターのエイドリアン・ヴァンデンバーグが腱鞘炎を起こしてしまい、新加入したスティーヴ・ヴァイが全てのギター・パートを弾いている。

本作発売後のツアーを終えた後、ホワイトスネイクの活動は一時停止されてしまう。

『曲レビュー』

1「SLIP OF THE TONGUE」ゴージャス感溢れるキーボードからバンドサウンドにイン。トミーのドラミングが既にカッコいい。メタリックなギターリフが耳を引く。所々のヴァイのプレイがメタル度を上げているんだと思う。リフの合間のピッキングハーモニクス等良い感じだ。キーボードも効果的に使われている。カヴァデールの中ではかなり高音域を駆使しているのではなかろうか。ホワイトスネイクの中では疾走曲に入るのかもしれない。思わず首が縦に動いてしまう。

2「CHEAP AN’ NASTY」最初のギターリフに合わせてシャウトするカヴァデールがノリノリのロックンロールナンバー。ドラムのカウベルが効果的だ。ヴァイが弾くとややメタリックになるのは不思議だ。やはり曲は弾き手を選ぶのだろうか。ヴァンデンバーグが弾いていたらもっと普遍的なロックになっていたかもしれない。サビはコーラスと共に歌ってしまうだろう。ギターソロも弾きまくっていて良い感じだ。ソロ明けのコーラスとヴォーカルの掛け合いも聴きどころだ。

3「FOOL FOR YOUR LOVING ’89」ホワイトスネイクの曲のリメイク版にして代表曲。やはり原曲が良いだけにメロディは文句の付け所が無い。私はこちらのヴァージョンを先に聴いているので違和感は無いがオリジナルヴァージョンを先に聴いている人は違う感想を持つかもしれない。私はどちらのヴァージョンも好きだ。曲はギターリフ、ヴォーカル共にハードロックしていてカッコいい。カヴァデールの歌声を堪能出来る曲だろう。キャッチーでありながらも哀愁を帯びている名曲。ギターソロはややメタリックか。これは全体的に一緒に歌ってしまうだろう。

4「NOW YOU’RE GONE」冒頭の泣きのギターから既に名曲の予感。ヴォーカルがインして雰囲気がグッと増す。バンドサウンドになるとカッコいいハードロックバラードに。メロディがとにかく良い。これも全体的に歌いたくなってしまう曲。哀愁を帯びたヴォーカルの何と気持ち良い事か。ギターソロもメロディアスでカッコいい。

5「KITTENS GOT CLAWS」カヴァデールの「アオアオアオーン!」の叫びからガッツポーズ。ロックンロールなのだがヴァイが弾いているからなのか音像がそうさせているのかとてもメタルに聴こえる。ここでは高音で歌いあげるヴォーカルだ。Bメロとサビのコーラスと共に掛け声のような感じで歌ってしまうだろう。所々のヴァイの小技も耳を引く。メタリックなギターソロは華やかだ。最後のシャウトも気持ちいい。

6「WINGS OF THE STORM」冒頭のヴァイのヘヴィメタルなギターリフからガツンとやられた。これはカッコいい。カヴァデールも負けじとここではメタリックな歌唱を聴かせてくれる。ギターソロも完全にメタルだ。トミーの2バスドコドコもさりげなく聴きどころだと思う。

7「THE DEEPER THE LOVE」アメリカンロック風なパワーバラード。静かな感じから段々熱くなっていくところがカッコいい。ヴォーカルに深みがあって聞きほれてしまう。ソロ前のシャウト部からギターソロへの入り方が実に良い。さらにテクニカルでメタリックな一面も覗かせてくれる。これも名曲ですね。

8「JUDGEMENT DAY」スロウでダークで荘厳な感じの曲。カヴァデールの中音域の声がとても良い感じだ。中盤~後半にかけてキーボードもふんだんに取り入れられている。全体的には古い感じのハードロックだがギターソロだけメタルしている。

9「SLOW POKE MUSIC」ホワイトスネイクにしては不思議な感じのする曲調だ。90年代型のメタルとでも言うべきか。ベースの跳ね具合が気持ちいい。

10「SAILING SHIPS」アコースティックギターとヴォーカルで進んでいく深い感じのバラード。こういった曲でじっくりと聴かせられるのはカヴァデールの強みだろう。とてもカッコいい。中盤でバンドサウンドになり爆発する感じだ。アルバムのラストに相応しい曲。「スカーーーーーイ!」の段々高音域になるシャウトで締めが耳に残る。

【収録曲】

1.SLIP OF THE TONGUE
2.CHEAP AN’ NASTY
3.FOOL FOR YOUR LOVING ’89
4.NOW YOU’RE GONE
5.KITTENS GOT CLAWS
6.WINGS OF THE STORM
7.THE DEEPER THE LOVE
8.JUDGEMENT DAY
9.SLOW POKE MUSIC
10.SAILING SHIPS

感想など

ホワイトスネイクと言ったら「サーペンスアルバス」が最高のアルバムだと思うが、私はこの作品も大好きだ。リピ率が高い。音像がメタルという事も一因だろう。好き嫌いの分かれそうなアルバムではある。

私はドラムのトミー・アルドリッジが大好きなので聴いていて多幸感が出てきてしまう。渋くてカッコいい人だなって思う。

改めて聴いてみるとメタリックな前半部、ハードロックな後半部といった感じに聴こえる。アレンジされる前…つまりはヴァンデンバーグでの曲にプレイも聴いてみたかった。

1990年のドニントンでのライブ映像を見た事があるのだが、この作品の影響もあってかとてもメタルなバンドになった印象があった。メンバー、特にヴァイの影響と時代がそうさせたのだろうなと思った。このライブはかなりカッコよかった。

Bitly

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