点数 94点
メロディックパワーメタル メロディックスピードメタル
ブラジル
『ブラジルの至宝!1stアルバムにしてメロディここに極まれり!』
ブラジル出身のアングラによる1stアルバム
ジャーマンメタルからの影響が大きいメロディックなスピードメタルにクラシックや民族音楽が融合された奇跡のアルバム。ANGRAの代表作の中の1枚。
日本でもゴールドディスクを獲得しており、発売前からの期待値も相当高かったようだ。私が子供の頃に友達周りでもこのアルバムはとても評価が高く、今聴いても思い出は色あせない。
全てのパートが非常に演奏レベルが高く、後のブラジル産のメタルに大きな影響を与えただろう。ヴォーカルのアンドレ・マトスが残した最高のアルバムだと思う。
ツインギター編成だが、このアルバムではラファエル・ビッテンコートは一部を除き参加しておらずキコ・ルーレイロがほとんどのパートを弾いている。
ドラムは後にRHAPSODY OF FIREに参加するアレックス・ホルツヴァルトと、当時GAMMA RAYのドラマーだったトーマス・ナックが叩いている。
『曲レビュー』
「未完成交響曲」をモチーフにした1「UNFINISHED ALLEGRO」で既に何かが来る予感を感じ期待感が上がっていく。2と一体化して聞きたい曲。
続く2「CARRY ON」では衝撃が走った。ギターリフからしてもう鳥肌もの。メタル史に残る神曲であろう1曲。スピーディーかつ時にクラシカルな部分もあってカッコいい。そして各楽器の音の分離も良い。1番目の終わりに「GO!」と一緒に叫んでしまうのである。サビももちろん思わず歌ってしまう。疾走感もギターソロもとても気持ちいい。
ヴォーカルのマトスは好みの分かれる声質だが私は時に女性的とも言える彼の声は好きだ。
2で既にスッキリした後はじっくりと聞かせるナンバーの3「TIME」これもかなりの佳曲である。静かな立ち上がりからミドルテンポでヘヴィに攻めていく。静から動へととてもドラマティックだ。この曲を飛ばしてしまう人はとてももったいないと思う。最後の方の2バスの速さは凄まじいものがある。
4は表題曲でもある「ANGELS CRY」スピードメタルを軸に展開の激しい曲。この曲も一聴で終わるよりは何度も聞きたい曲だ。中間部にはクラシカルなシーンもあり。
イントロのアルペジオが印象的な5の「STAND AWAY」マトスのハイトーンボイスが突き抜ける。コーラスも味わい深い。ミドルテンポでANGRA風のオペラといったところか。
6の「NEVER UNDERSTAND」はメタルと民族音楽を融合させた感じで展開の多い曲。ベース&ギターソロが印象的。ギターにGAMMA RAYのカイ・ハンセンとディルク・シュレヒターが参加。
7の「WUTHERING HEIGHTS」はケイト・ブッシュの名曲「嵐が丘」のカヴァー。マトス、声高いですね~!
9の「EVIL WARNING」は2と並んでこのアルバムを引っ張っていくスピードメタル。イントロのコーラスから盛り上がりを見せる。アルバム自体も引き締まりとても良い。間奏のクラシックも見事にハマっている。
クラシカルで壮大なバラード10「LASTING CHILD」でアルバムは幕を閉じる。マトス好きな人にとってはたまらない曲ではなかろうか。
【収録曲】
1.UNFINISHED ALLEGRO
2.CARRY ON
3.TIME
4.ANGELS CRY
5.STAND AWAY
6.NEVER UNDERSTAND
7.WUTHERING HEIGHTS
8.STREETS OF TOMORROW
9.EVIL WARNING
10.LASTING CHILD:Ⅰ-THE PARTING WORDS:Ⅱ-RENAISSANSE
感想など
メタラーなら誰もがもう聴いているであろうANGRAだが、活動期間が長くメンバーチェンジが激しい為、時期によって様々な方向性のアルバムがある。大きく分けてヴォーカルのマトス派とエドゥ派に分かれるのではないだろうか。
最初に聴いた作品が大体はその人のお気に入りになる事が多いと思う。私はこの1stを最初に聴いた為、マトス節とも言える楽曲群が大好きである。もちろんエドゥ期も大好きだ。
最初はスピードナンバーばかり聴いて他の曲を飛ばしていたのだが、じっくり聞いた時にその「他の曲」がとても良い事に気づく事が出来た。
後にキコがMEGADETHに加入した時はひっくり返るくらい驚いた。現在は脱退した模様だが。どこでも活躍出来るマルチな才能を持っているという証拠か。
ANGRAにおけるキコのギターリフ、ソロ共に本当に素晴らしい。
ヴォーカルのマトスは既に亡くなっており、もっと色んな作品を出してほしかった身としては悲しい限りだ。
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