点数 88点
メロディックパワーメタル メロディックスピードメタル ジャーマンメタル
ドイツ
『モダンなアレンジに挑戦したカボチャ達の貫禄の作品』
ドイツ出身のハロウィンによる8枚目のアルバム
アンディデリスが加入してから3枚目となる本作ではハロウィン史上稀に見るヘヴィネス度が聴ける。
今作のメンバーは
アンディ・デリス(ボーカル)
マイケル・ヴァイカート(ギター)
ローランド・グラポウ(ギター)
マーカス・グロスコフ(ベース)
ウリ・カッシュ(ドラム)
何とドラムのウリが5曲も作曲しておりビックリさせられた。ドラムプレイも凄い。
アンディデリス色がやや薄まったようにも感じられるが、マンネリ化するよりもこういった変化のあるアルバムを作れるというのは個人的には良い事だと思っている。
守護神伝、デリス節といった作品とはまた違った作風であり、ハロウィンにしてはかなりヘヴィながらも聴いていてカッコいい。賛否があるようだが私は賛成する。作風が変わっても他のバンドには中々真似出来ないレベルの作品に仕上がっている。
『曲レビュー』
1「Deliberately~」ハロウィンお約束のイントロだがいつも以上に素晴らしい作風に仕上がっている。ウリの作曲能力の高さが伺える。この1曲で既に期待感が高まる。
2「PUSH」1で高まった期待をさらに爆発させる曲。これまでのハロウィンには無いヘヴィネス度でありまさにメタルそのものである。最初のギターリフからのドラムの入り方でテンションが上がる。ここだけでもカッコいいのだが何とデリスのヴォーカルが超ハイトーンで入ってくる。これにはビックリした。Bメロとサビは一緒に歌ってしまうだろう。サビは拳を挙げて叫ぶ感じか。ギターのリフがいくつかあり、どれも素晴らしい。ウリの作曲能力の高さとプレイの豊かさには感服させられる。これまでのハロウィンのイメージを覆した名曲。
3「FALLING HIGHER」イントロのメロディからガッツポーズ。次に来るギターリフもカッコいい。Aメロに入った途端にあぁ、ハロウィンだ!と安心させられる。Aメロのバスドラムの踏み方がかなり耳を引く。これは難しいんじゃないかなと思った。Bメロも良い。サビは一緒に歌ってしまうだろう。ギターソロは速弾きを織り交ぜカッコいい仕上がりになっている。メタルネバーダイの歌詞も好きだ。最後は高音シャウトで締め。
4「HEY LORD!」これぞアンディデリスといった曲。ゆっくりな曲だがメロディはしっかりしている。キャッチーなハードロックナンバー。
6「REVELATION」8分以上ある大作だがまったく長さを感じない出来に仕上がっている。これもウリの作曲なのだから恐れ入る。イントロのギターからカッコよく。その後のギターリフもかなり良い。何気によく動いているマーカスのベースラインも聴きどころだ。重く、変則的でありさらに疾走曲という佳曲。メロディもしっかりしている。ザクザクとしたギターに激疾走するドラムはややスラッシーなイメージも受ける。
7「TIME」4と並んで一聴してデリスの曲だと分かる。哀愁漂うスローテンポな曲。ハマる人にはハマるかも。
8「I CAN」ハロウィンらしいキャッチーなミドルテンポのナンバー。これを聴くと元気が出てくる人も多いはず。Bメロが特に耳を引く。ギターソロも口ずさめる程にメロディアスで良い。サビのボーカルの力の抜き具合は好みが分かれるところか。
9「A HANDFUL OF PAIN」ヘヴィでダークなミドルテンポのナンバー。Aメロの低いボーカルからBメロで一気に上がるところが耳を引く。グラポウによるギターソロの速弾きがカッコいい。
10「LAUDATE DOMINUM」陽性のメロディを持った適度に疾走する曲。歌詞は何とラテン語だ。ヘヴィな音像なのに明るく聴こえるのはヴァイキーの作曲能力の高さによるものだろう。ラテン語は分からないがメロディは何となく口ずさんでしまう。サビ後のギターがまた良い味を出している。ギターソロも速くハモっていて聴きどころだ。
12「MIDNIGHT SUN」イントロから既にカッコいいナンバー。ツインギターでのライトハンド奏法ハモりが聴ける。メロディ的には初期のハロウィンを彷彿とさせる。ドラムが色々と詰め込んでいて、ライブでやるのは難しそうだなと感じた。ギターソロはてんこ盛り。もちろんボーカルのメロも良い。サビは一緒に歌ってしまうだろう。この曲によってアルバムが引き締まって聴こえる。さすがヴァイキー。良い曲を書きますね。
【収録曲】
1.Deliberately Limited Preliminary Prelude Period in Z
2.PUSH
3.FALLING HIGHER
4.HEY LORD!
5.DON’T SPIT ON MY MIND
6.REVELATION
7.TIME
8.I CAN
9.A HANDFUL OF PAIN
10.LAUDATE DOMINUM
11.BACK ON THE GROUND
12.MIDNIGHT SUN
感想など
この辺のアルバムになると私もリアタイで聴いていて思い出深い。最初に1~2の流れを聴いた時はぶったまげてしまった。新しいハロウィンになった感じがした。ハロウィンらしい曲もあってこのアルバムも新機軸を打ち出した重要な作品と言ってもいいだろう。
マンネリ化を避けるという意味でこういったヘヴィで時折スラッシーな曲調を聴かせてくれた事は彼らのチャレンジ精神を感じた。欲を言えばもう1曲「らしい」曲が入っていたら良いなと思った。
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